手書きの遺言書の検認手続きを行い、不動産登記を行い、遺留分減殺(侵害額)請求の時効成立を待って、不動産取得を確定させたケース
相談前
夫を亡くした方が相続の相談にいらっしゃいました。子はなく、遺産は自宅である不動産以外はめぼしいものはないとのことでした。遺言書がありましたが、封がなく、手書きで、「全てを○子(奥様のお名前)に遺す。」との記載がありました。夫には兄弟はなく、夫の父親(母親は亡くなっていました)から遺産の取得を主張されていて、困っているとのお話でした。なお、夫は、生前、父親にお金を貸していたようだとのことでした。
相談後
手書きの遺言書には、検認手続きが必要であることを説明しました。遺言書が有効となれば、夫の父親からの遺留分(遺産の6分の1)を請求される可能性があることを説明し、受任しました。 受任後、家庭裁判所で遺言書の検認手続きを行い、次に、遺言書による相続登記を司法書士に依頼しました。そうしたところ、当該司法書士から、「この文言では登記できない」との回答がありました。 よって、司法書士に依頼せず、弁護士として、この遺言による相続登記手続きを行ったところ、法務局は受け付けてくれたので、自宅が奥様の名義に変更されました。 (弁護士は、司法書士と同様に不動産登記の申請の代理人となることを、最高裁判例上認められています。) その後、夫の父親の遺留分減殺(侵害額)請求権の行使の可能性があったので、代理人として、夫の父親に内容証明郵便を送付し、遺言に従って不動産を取得したこと、仮に遺留分の請求を父親が行うときには、貸金と相殺するとの内容証明郵便を送りました。そのまま1年以上、父親からの遺留分請求がなかったので、遺留分請求は時効で消滅し、奥様はご自宅を無事取得することができました。