兄弟仲が悪くて遺産分割協議ができない |千葉県船橋市の相続の経験豊富な弁護士

兄弟仲が悪くて遺産分割協議ができない

遺産分割協議は、相続人全員が揃った状態で遺産分割の方法について話し合わなければなりません。
しかし、もともと兄弟仲が悪く、疎遠になったり絶縁していたりしていた場合でも、遺産分割協議をしなければならないのでしょうか?ここでは、親の遺産を相続する兄弟が不仲で遺産分割協議ができない場合の対処法について詳しくご紹介します。
 

相続人の同意がなければどうなる?

遺産相続では、遺産分割協議で決まった内容について相続人全員の合意が必要です。
これがなければ遺産分割の手続きでさまざまな不利益が生じます。
まず、銀行口座の預金を全額引き出すために、遺産分割協議書が必要になります。
金融機関は被相続人が亡くなったことを知ると、不正な引き出しをされないように口座を凍結します。
仮払い制度により一時金を引き出すことはできますが、全額を引き出すためには遺産分割協議書が必要です。
また、被相続人名義の不動産は相続人が名義変更しない限りは相続人の共有名義になります。
共有名義になると、不動産を活用するか売却するかといった不動産の扱いについて決められず、売却ができません。
そのため、相続欠格・廃除により相続権を失っていない限りは、遺産分割に関する手続きは避けて通れないのが現実です。
どんなに兄弟不仲で、長期間音信不通になっているとしても、被相続人が亡くなったことを必ず知らせるようにしましょう。
 

不仲・疎遠になった兄弟と遺産分割協議する方法

ただ、不仲・疎遠になった兄弟と顔を合わせたくない場合は、直接会って遺産分割協議する必要はありません。
遺産分割について合意し、遺産分割協議書に署名・捺印があればいいので、顔を合わせなくても遺産分割協議を進めることはできます。
 

メールや手紙でやり取りする

電話での会話を避けたい場合、メールや手紙といった文章でのやり取りで遺産分割協議を進める方法です。
しかし、文章だけのやり取りではお互いの認識に齟齬があったり、協議終了までに時間がかかったりするため、あまりおすすめしません。
 

自分以外の関係者と間接的に連絡を取る

自分から連絡するのは避けたい場合は、不仲・疎遠になっている兄弟と連絡がつく他の親戚や関係者に連絡してもらいましょう。
連絡しても無視されている場合は、無視することで起こりうるデメリットを伝えます。
後述する遺産分割調停を申し立てなければならないこと、その場合、裁判所に来てもらうことになることなど、法的手続きが必要になることを伝えると連絡してくることがあります。
 

弁護士経由で遺産分割協議に参加する

兄弟仲が悪く無視され続けているといったケースでも、弁護士から連絡すればやり取りできることがあります。
兄弟で話し合うと感情的になったり、喧嘩腰になったりすることがあるかもしれませんが、弁護士なら法的な観点から冷静かつ客観的に協議を進められます。
疎遠になっている相続人に対し、被相続人が亡くなったことと、これから遺産分割協議が必要になることを伝えた上で、円滑な遺産分割協議を進めていけるようお手伝いできます。
他の相続人と連絡を取りたくないという方や、連絡がつかない方はぜひ弁護士にご相談ください。
 

遺産分割調停を申し立てる

疎遠になっている相続人に連絡しても無視され続けている場合は、遺産分割調停を申し立てます。
遺産分割協議は、相続人同士の話し合いにより完結するのに対し、調停は家庭裁判所で調停委員が必要な調整を行い、遺産分割について話し合います。
調停で合意した内容は、裁判の判決と同一の効力があるので、調停で決まった割合で遺産分割しなければなりません。
なお、調停は裁判所での手続きとなり、専門的な話がなされることも多いので、弁護士に依頼することが多くなっています。
兄弟不仲が原因で遺産分割協議が進められないおそれがある場合は、協議が調わず遺産分割調停の申し立てをすることも想定し、早めに弁護士に相談すると良いでしょう。
 

音信不通かつ行方不明の場合

疎遠になっている相続人の連絡先や居住先もわからないという場合はどうすればいいでしょうか。
居場所を特定できない場合は、「不在者財産管理人」を立てて遺産分割協議を進める方法があります。
不在者財産管理人とは、行方がわからなくなっている相続人に代わって財産管理する代理人のことです。
家庭裁判所に申し立てて不在者財産管理人を選定してもらい、遺産分割協議を進めることができます。
相続人の生死がわからない場合は失踪宣告を受ける方法もひとつの選択肢です。
失踪宣告は行方不明者が一定期間、生死が明らかでないときに死亡しているとみなすものです。
失踪宣告の申し立てから7年が経過した後も生死がわからない場合は、死亡したとみなされます。
なお、不在者財産管理人を立てた場合も失踪宣告を受けた場合も、その相続人に子がいる場合は代襲相続が発生する点に注意しましょう。

この記事の監修者

藤岡 隆夫弁護士 (千葉県弁護士会所属所属)

FUJIOKA TAKAO

千葉県は、特に相続問題が発生しやすい土地ではないかと感じています。東京に近い一方で、昔ながらの習慣が残っており、代々続く家を守ろうとする考え方は、現代の相続法と相いれない場面があります。相続問題は、よく言われますが、「我が家に限ってもめるはずがない」と考えていたのに巻き込まれてしまう、というケースが散見されます。いつ発生するか分からない問題です。また、将来のことを考え、遺言などで準備することもできます。西船橋駅を中心とした地域で相続・遺言などの問題にお困りの際には、是非とも一度、藤岡法律事務所までご相談下さい。

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