遺留分1 遺留分侵害額請求を拒否した場合 |千葉県船橋市の相続の経験豊富な弁護士

遺留分1 遺留分侵害額請求を拒否した場合

遺留分を請求されたけど拒否したい場合もあると思います。
被相続人の残した遺言書に従って相続手続き等を終えて、これから財産の管理や運用に取り掛かろうとしているところで、「遺留分が侵害されているので請求させていただく」という横やりが入ることがあります。
このような場合、「遺言書に従って相続したり、遺贈を受けただけだから、文句を言われる筋合いはない」と考えて、遺留分の請求を拒否したいと思う方も少なくないと思います。
しかし、遺留分は、配偶者や子供、親など一定の法定相続人に認められている正当な権利ですから、相手の主張が正当であれば拒否することはできません。
 

遺留分とは?

相続が開始した場合、法定相続人には民法上の法定相続分が認められています。
例えば、配偶者と子3人が法定相続人であれば、配偶者が6分の3、子がそれぞれ6分の1ずつ遺産を相続する権利を有しています。
しかし、この法定相続分が保障されているわけではなく、遺産分割協議等によって、割合を変えることもできますし、遺言書で違う割合の指定もできます。
ただ、配偶者や子のように被相続人と近い関係にある法定相続人には、遺族の生活保障の意味でも、最低限の遺産の取り分が保障されています。
例えば、配偶者と子3人であれば、配偶者が12分の3、子がそれぞれ12分の1ずつ保障されているわけです。
この取り分のことを遺留分といいます。
法定相続人の誰かが、遺留分を侵害されている場合は、侵害している人、つまり、余分に遺産をもらっている人に対して、遺留分侵害額請求を行うことができます。
この遺留分侵害額請求があった場合は、正当な主張であれば拒否することはできません。
 

正当な遺留分侵害額請求を拒否した場合は?

遺留分侵害額請求が正当なものであれば、請求者は、法的手段を講じてくることが考えられます。
次のような形で請求があった場合は、基本的には拒否せず、話し合いを行うべきでしょう。
 

1、内容証明郵便によって遺留分侵害額請求がなされた

遺留分侵害額請求をする人も請求される人も身内や兄弟ということも多いと思います。
それなのに内容証明郵便なんて大袈裟なものを持ち出してどういうつもりなのかと思うかもしれませんが、遺留分侵害額請求は相続開始から1年以内に行わなければ時効により権利行使できなくなります。
請求したことの証拠として内容証明郵便を用いるのが、一般的な手段とされています。
内容証明郵便を用いた場合は、遺留分侵害額請求権という債権が生じます。
この債権にも消滅時効期間はありますが、通常は、請求時から5年間になります。
請求者が弁護士などの助言を受けている場合は、5年経過する前に次の手段に出てくることがあります。
 

2、遺留分侵害額調停・訴訟が提起される

内容証明郵便の次に来るのが遺留分侵害額の請求調停のお知らせです。
家庭裁判所から通知が届くのでびっくりするかもしれませんが、当事者だけで遺留分の交渉がまとまらない場合の一般的な手段です。
調停の段階では、相手の主張に対して、こちら側の言い分も主張して、あくまでも遺留分侵害請求を拒否し続けることもできます。
調停はまとまらなければ、調停不成立となり、終了します。
 
請求者側が本気であれば、調停不成立となったら直ちに、遺留分侵害額請求訴訟を提起して来るでしょう。
この場合は、裁判官が判決を下すことになるため、何の根拠もなく拒否し続けることは難しくなります。
弁護士に依頼するなどして、拒否し続ける理由を主張する必要があります。
もしも、請求者側の言い分が認められて、遺留分を支払えとの判決が出てしまうと、支払いを拒否することはできません。
それでも拒否し続けるようですと、強制執行によって財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。
 

遺留分侵害額請求を拒否する前に確認すべきことは?

遺留分侵害額請求を受けた場合は、その請求が法的に正しいものなのかどうかをまず確認しましょう。
次の点を確認してください。
 

1、請求している人が遺留分権利者なのか?

遺留分権利者でない人からの請求については無視してかまいません。
そこで請求者が遺留分権利者なのかどうかを確認しましょう。
遺留分権利者は、その相続における相続人であることが前提です。
そもそも相続人でない人は遺留分を主張することができません。
被相続人の配偶者と子ども(孫を含む)が相続人であれば、配偶者と子ども(孫を含む)だけが遺留分を主張できます。
それなのに被相続人の両親が自分にも権利があると言った主張をしている場合は、その方が遺留分の意味を理解せず請求していることになるので、無視してかまいません。
また、被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケースでは、兄弟姉妹には遺留分はありません。
そのため、兄弟姉妹からの請求は無視することができます。
 

2、遺留分侵害額請求権の消滅時効が過ぎていないかどうか?

遺留分侵害額請求権は次のいずれかの期間を経過することで時効により消滅します。
 

  • ・遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年
  • ・相続開始の時から10年

 
請求者が「10年は遺留分侵害額請求ができる」といった主張をしている時は、1年の消滅時効期間が経過していないかよく計算してみましょう。
一般的には、被相続人が亡くなり、被相続人の遺言書を開封した時点から1年以上過ぎていれば、消滅時効期間が経過している可能性が高いでしょう。
ただ、請求者が被相続人が亡くなったことを後になって知ったような場合は、消滅時効期間が経過していない可能性もあります。
 

3、遺留分侵害の請求額が適正なのかどうかを確認する

上記の1、2に問題がない場合は、請求者は遺留分侵害額請求権を行使できる可能性が高いです。
ただ、遺留分侵害の請求額が適正なのかどうかは話が別です。
遺産全体の金額を正確に評価したうえで、請求者の遺留分の割合に相当する額と言えるのかどうかを判断する必要があります。
請求者が一定の遺産を相続している場合は、その遺産の額が遺留分を満たしていれば、他の相続人より少なくても、それ以上の請求はできないことになります。
遺留分の割合自体は、明確に判断できると思いますが、遺産全体の金額は、専門家に調べてもらわないと正確な判断は難しいものです。
遺留分侵害の請求額が正しいのかどうか分からない場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。
 

4、請求された結果、自分の遺留分が侵害されないのかどうか確認する

遺留分侵害の請求を受けた方が相続人であれば、受けた側も遺留分を有していることになります。
よって、自分の遺留分を超える額の支払いを求められている場合は、超える分は支払いを拒否することができます。
この額の判断も、やはり、遺産全体の金額の正確な把握が必要なので、弁護士等の専門家にご相談ください。
 

正当な遺留分侵害額請求を受けた場合は?

上記の4点を満たした正当な遺留分侵害額請求を受けているのであれば、拒否することはできません。
請求されている金額の支払いが難しい場合は、請求者側と交渉して、請求額を減額してもらうか、支払期限の延長や分割払いなどに応じてもらえないか頼むしかありません。
 
請求者側が弁護士を立てている場合は、請求を受けた側としても弁護士に依頼して代わりに交渉してもらった方がよいでしょう。

この記事の監修者

藤岡 隆夫弁護士 (千葉県弁護士会所属所属)

FUJIOKA TAKAO

千葉県は、特に相続問題が発生しやすい土地ではないかと感じています。東京に近い一方で、昔ながらの習慣が残っており、代々続く家を守ろうとする考え方は、現代の相続法と相いれない場面があります。相続問題は、よく言われますが、「我が家に限ってもめるはずがない」と考えていたのに巻き込まれてしまう、というケースが散見されます。いつ発生するか分からない問題です。また、将来のことを考え、遺言などで準備することもできます。西船橋駅を中心とした地域で相続・遺言などの問題にお困りの際には、是非とも一度、藤岡法律事務所までご相談下さい。

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