「遺言書を作るときに押さえておくべき4箇条」
遺言書があれば、残された家族が相続トラブルを起こしにくいといいますが、遺言書の内容や書き方によっては揉めるおそれは大いにあります。
そこで今回は遺言書を書く際に守るべきルールや書き方について解説します。
目次
自分に合った遺言書を選ぶ
遺言書には以下の3種類が存在します。
- ・自筆証書遺言
- ・秘密証書遺言
- ・公正証書遺言
これらの遺言の形式にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、自分に合った方法を選択する必要があります。
・自筆証書遺言の概要
このうちもっとも手軽に作成できる遺言書が自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は自分で書いて自宅に保存しておくことができます。
自宅に保存することで紛失や改ざん等のリスクが想定できる場合には、自筆証書遺言を法務局に保管してもらえる制度を活用可能です。
一方で自筆証書遺言は書き方等を間違えると無効になってしまうおそれもあります。
財産目録以外はすべて被相続人の自筆でなければなりません。
日付の書き方を間違えたり押印がなかったりする場合も無効になってしまいます。
また自筆証書遺言を自宅で保管しておくと相続人によって破棄、改ざんされるリスクもあります。
さらに自筆証書遺言は開封するときに家庭裁判所による「検認」という手続きを経なければなりません。
・秘密証書遺言の概要
秘密証書遺言とは、手書きやパソコンで作成して署名捺印した遺言書を封印した上で、公証役場で遺言があることを申述する遺言です。
自筆証書遺言と異なり、本文部分も手書きである必要はありません。
ただし、秘密証書遺言は公証役場で中身が確認されるわけではありませんので、内容の正確性に不安が残ります。
また秘密証書遺言の本文は公証役場に保管されるわけではありませんので、遺言書を紛失するリスクもあります。
・公正証書遺言の概要
公正証書遺言は、公証役場で公証人とともに作成する遺言書です。
公証人と作るため、書式や遺言の内容については信頼できるといえます。
また作成した遺言の写しは公証役場に保管されますので、紛失や改ざんのリスクもありません。
もっとも大きなメリットは公正証書遺言は開封の際に検認の手続きが必要がない点です。
これらの遺言書の特徴をまとめておきます。
自分で作成して、保管できる | 書式等の誤りによって遺言自体が無効になるおそれがある | 改ざん・紛失・破棄のリスクがある | 開封時に家庭裁判所の検認が必要である | |
---|---|---|---|---|
自筆証書遺言 | ○ | ○ | ○ | ○ |
秘密証書遺言 | ○ | ○ | ○ | ○ |
公正証書遺言 | × | ×(ほとんどない) | × | × |
自筆証書遺言は、作成するためのハードルが低く、被相続人が自宅にいながら作成して、好きな場所に保管できる点がメリットですが、その分紛失や改ざんのリスクがあります。
公正証書遺言は作成するために公証役場に行かなければならないので、手間はかかりますが、紛失リスクや内容の不備により無効になるリスクは低いといえるでしょう。
それぞれの遺言書に求められる条件を満たした遺言書を作成する
遺言書の作成にはルールがあります。
自筆証書遺言であれば「すべて自筆で書くこと、押印をすること」というルールがあります。
秘密証書遺言は「自筆である必要はない。
遺言書に押印した印鑑と封筒の封印の印鑑は同一でなければならない」といったルールです。
こういったルールを守らなければ遺言書が無効になり、被相続人が亡くなったときに相続人が遺産分割協議を実施しなければなりません。
遺言書を作成する前に、それぞれの遺言書の作成ルールを把握しておきましょう。
公正証書遺言と自筆証書遺言の作成ルールについてはこちらの「公正証書遺言の作成方法を弁護士が解説」と「自筆証書遺言の作成方法と注意点」の記事をご確認ください。
相続財産をもれなく把握する
遺言書を書くときは、相続させる財産と相続人を特定しておく必要があります。
財産の種類や数量等が多いと、被相続人本人でも、すべての財産を正確に把握できない可能性があります。
たとえば登記簿に記載してある地番を書き間違えてしまい、不動産が特定できない状態になると、遺言書のその箇所については無効になり、相続人が遺産分割協議を実施しなければなりません。
財産目録やリストに漏れがあった場合も同様です。
もし相続財産を漏れなく把握することが難しい場合は「その他すべての財産は○○に相続させる」といった文言を付け加えてカバーしておいたほうがよいでしょう。
あらかじめ弁護士に相談をしておく
遺言書の作成にあたり、少しでも疑問が生じたら弁護士に相談をしておきましょう。
弁護士は法的に有効な書式での遺言書を作成できるだけでなく、被相続人の意思を反映して、相続人間の関係を破壊しないようにと配慮した遺言内容を提案できます。
「こんなことはできないだろうか」
「相続人が先に死んでしまったときはどうすればいいだろうか」
といった疑問についても、的確にご案内できますので、まずはお気軽にご相談ください。
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